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中国の景気悪化による政治情勢の変化に関する将来予測

by anonymous

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中国にとっての問題は、政治的な問題である。中国を一つに結びつけているものは、イデオロ 
ギーではなく、金だ。景気が悪化して資金の流入が止まれば、銀行システムが収縮するだけで 
なく、中国社会の骨組み全体が揺らぐだろう。中国では、忠誠は金で買うか、強制するものだ。 
金がないなら、強制するしかない。景気混迷時には企業倒産や失業が多発するため、一般に 
社会不安が起こる。貧困が広く存在し失業が蔓延する国に、景気悪化の圧力が加われば、政 
情不安が広がる。 

中国がイギリスに侵略されてから毛沢東が勝利するまでの間に、沿岸部と内陸部に分裂してい 
った経緯を思い出して欲しい。対外貿易と外国資本によって繁栄した沿岸部の企業は、中央政 
府の支配を逃れようとするうちに、外国資本との距離を縮めていった。こうした沿岸部企業の 
手によって、中国に経済権益を持つヨーロッパの帝国列強―とアメリカ―が引き入れられた。 
今日の中国もおそらく似たような状況にある。たとえば上海のとある実業家は、ロサンゼルス、 
ニューヨーク、ロンドンの企業と利害をともにする。 

早い話が中国政府との関係よりも、外国企業との関係から、よほど大きな利益を得ている。中 
国政府は実業家を取り締まろうとするが、かれは政府の支配を逃れようとするばかりか、自分 
の身と外国権益を守るために外国勢力を引き入れようとするだろう。 

他方では、貧困にあえぐ内陸部に富を分配するよう政府に迫るようになる。板ばさみになった 
中国政府は、弱体化して支配を失うか、あるいは手綱を締め過ぎて毛沢東時代のような鎖国主義 
に回帰するからもしれない。ここで肝心なのは、どちらの方が起こる可能性が高いかということだ。 

中国政府が拠り所としている柱は二本ある。一本目の柱は、国家を運営する巨大な官僚機構であり、 
もう一本は、国家と共産党の意思を執行する軍事安全保障機構である。三本目の柱、共産党のイデ 
オロギー的信条は、過去のものになってしまった。平等主義、無私無欲、人民への奉仕は、今も説 
かれていはいるが、信じる人も実践する人もいない、廃れた価値観である。 

国家、党、安全保障機構は、一般社会と同じように、イデオロギーの衰退に影響を受ける。共産党 
の役人は新しい体制から個人的な恩恵を受けている。そのため中央政府が沿岸地域に富をもたらす 
体制に加担しているのだから。十九世紀にも同様の問題が生じた。沿岸部の役人は外国とビジネス 
を行う側についていたため、中央政府の命令を執行する意思を持たなかった。 

深刻な経済危機が現実のものになった場合、中央政府は共産主義に代わるイデオロギーを見つけな 
くてはならない。人民が犠牲を払うのは、信奉する対象があればこそだ。そして中国人ならば、共 
産主義を信奉できなくても、中国国家なら信奉できるはずだ。中国政府は国家主義と、国家主義と 
は切っても切り離せない外国嫌悪が根強い。党は経済問題の責任を負わせるスケープゴートを必要 
とする。毛沢東が中国の弱体と貧窮を外国のせいにしたように、党は中国の経済問題の責任を再び 
外国になすりつけるだろう 

中国への経済投資を守ろうとする外国との間に、経済問題をめぐって大きな対立が生じているこの 
頃は、国家主義に訴えやすい環境にあるはずだ。「偉大な国、中国」という思想が、失われた共産 
主義イデオロギーにとって代わるだろう。外国との争いには、中国政府は問題の責任を他国に転嫁 
し、外交的手段や高まる軍事力を背景に外国政府と対決することで、政権への支持を集める。 

対立の相手国としてうってつけなのは、日本とアメリカのいずれか、または両方である。いずれも 
中国の宿敵であり、今もすでに不和がくすぶっている。ロシアが敵扱いされることはまずない。た 
だ、日本やアメリカとの間に軍事衝突が起きる可能性は限られている。中国にとっては、いずれの 
国も積極的に交戦できる相手ではない。 

中国の海軍は弱く、アメリカとの対決に耐えられない。したがって台湾侵攻は、理論上は魅力的に 
思えても、実現する可能性は低い。中国の軍事力では、台湾海峡を強引に突破することも、もちろ 
ん台湾の戦場に物資を輸送する船団を護衛することもできない。中国は今後十年以内にアメリカに 
挑戦できる海軍力を持つまでには至らない。海軍を構築するには長い年月がかかるのだ。 

そんなわけで中国の歩む道筋として、次の三つが考えられる。第一が、いつまでも驚異的なペース 
で成長し続けるというものだ。だがかつてこれを成し得た国はないし、中国が例外になるとも思え 
ない。三〇年間続いた驚異的な成長は、中国経済に莫大な不均衡と非効率をもたらしており、それ 
は必ずや是正されなくてはならない。いつか中国も、アジア諸国が経験したような痛みに満ちた調 
整を強いられるだろう。 

あり得るシナリオの二つめが、中国の再集権化である。景気低迷をきっかけに相反する諸勢力が台 
頭するも、強力するも、強力な中央政府が秩序を打ち立て、地方の裁量を狭めることによってこれ 
を押さえ込む。このシナリオの方が実現する可能性が高いが、中央政府の出先機関の役人が集権化 
と対立する利害を持つため、成功させるのは難しい。政府は規則を徹底する上で役人の協力を当て 
にできるとは限らない。政府が国内の統一を保つために使える手段は、国家主義しかない。 

第三の可能性は、景気悪化がもたらすひずみにより、中国が伝統的な地方の境界線に沿って分裂す 
るうちに、中央政府が弱体化して力を失うというものだ。これは中国ではいつの時代にも現実性の 
高いシナリオであり、富裕階級と外国資本に利益をもたらすシナリオでもある。これが実現すれば、 
中国は毛沢東時代以前と同じ状況に陥る。地域間の競争や、紛争さえ起きるなか、中央政府は必死 
に支配を維持しようとするだろう。中国経済がいつか必ず調整局面に入ること、そしてどんな国で 
もそうだが、これが深刻な緊張をもたらすことを踏まえれば、この第三のシナリオが中国の実情と 
歴史に最も即していると言える。 

 

 

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