CopyPastehas never been so tasty!

正義のヒーローは本当に居たんだよ、ママ!

by anonymous

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【オープニング】

パン、パパパパン、とクラッカーが鳴らされ

 「「「ニコラスお坊っちゃま、おめでとーございまーす!」」」

 老若男女のセレブ達が声を合わせて祝辞を述べた。

ぽかぽか陽気の小高い丘の上で宴たけなわなのは、地元の豪商、デクレセント家の長男ニコラス君の5歳の誕生日会である。

デクレセント家の目にいれても痛くない跡継ぎの誕生日会だ。

豪商の意地とプライドをかけたと一目で分かる豪華さを誇っていた。

点々と置かれたテーブルには立食形式でご馳走が並び、設営された舞台上では楽団が音楽を奏で、エンターティナー達が芸を披露する。

その舞台が一番良く見える場所に設置された長いテーブルにデクレセント氏とデクレセント夫人、そしてその真ん中に今回の主役、ニコラスが座っていた。

彼らはニコラスとお近づきになって将来の富を得ようと考えているセレブ親子や、子どもを褒めちぎって親馬鹿のデクレセント氏の評価を得ようとする大人達をにこにこと眺めていた。


そんな表面上はほのぼのとしたパーティーを台無しにする不穏な声。 

「ボス!ウマソー ナ モノ!ハッ!ケン!!」

「スゴイ!ゴチ!ソウ!!タベ!ホーダイ!!」 

ハンマーを所持し、よだれを垂らした5匹のオークが殺到してきたのだ! 

「ヨシ!オマエラ メシ!ノ!ジカン!!」 

リーダーと思われる兜を被った一匹のオークの号令で、パーティーは一瞬にして豪勢な料理がフゴフゴとオークに食い散らかされ、逃げまどう人々が敢え無く惨殺されていく地獄絵図と化した…。

 

 「という、ひっでえエンディングが見えた」

 と、デュードが苦虫を噛み潰したような顔で一同に説明した。

デュードはその大道芸の腕を見込まれ、来週のニコラス坊ちゃんの誕生日会のエンターティナーの一人として雇われたのだ。

その際、依頼主のデクレセント氏の目から以上のようなエンディングが見えたという。 

「どーにかしねえと俺の報酬もパーだし。何より…そういう絵面が誕生日の思い出になるのは流石に可哀想だろう…いや、このままじゃ死んじまうから思い出にもならねえんだけど…」

 エンディングからはオークがどこから現れるのかは分からなかった。

なのでオークたちを会場で迎え撃つしかないのだが 

「参加者がパニックになると収集がつかねえし、命が助かってもニコラスのトラウマになるのは必至だ。 …だから、サプライズの余興っぽく何とかしようと思う」 

デュードはニヤリと笑う。

つまり、サプライズヒーローショーであると見せかけてオークを一掃しようというワケだ。

 「客の避難誘導は俺がなんとかする。なるべく参加者に怪我させないようにしてくれな。 5歳児の楽しい誕生日会を守るべく協力してくれると有難い。それに、ショーの出来次第ではデクレセント家渾身のゴージャス料理食べ放題だぜ?」

  

ゴージャス料理。一同の脳裏には様々な料理が浮かんで消えた。

 

 

【リプレイ】 

和やかな音楽が奏でられる中、セレブ達は思い思いにニコラスの誕生パーティーを楽しんでいた。

豪華な料理を食べる者、ジュースを飲む者、デクレセント一家となんとか親睦を深めようと話しかける者、そして大道芸などの出し物を眺める者…。

 「そろそろだな…」

 エンディングで見えた頃合いが近づき、デュードはいつでも対応できるようナイフをジャグリングする技から棍のパフォーマンスに切り替えた。

 

プギー!という大きな声が聞こえ、セレブ達はハッと丘の麓へ目を向ける。

5体のオークがご馳走を指差しヨダレと共に何事かわめき散らした上、こちらへ走ってくるのが見えた。 

「ひっ、オーク!?」

婦人の誰かが叫び、場内は我先に逃げようとして騒然となる。

混乱しかけた場の真ん中へ、舞台からデュードは舞い降りると声を張り上げた。 

「はいはいはいー!ここでサプライズ!!ヒーローショーの始まりですよー!!」

「…え?」

静まり返り、逃げるのをやめたものの、困惑するセレブ達。そしてオークはパーティー会場の目前に迫った。 

「ゴチソウ!!ゴチソ…オ?」

 

オークの足と声が止まる。ざん、と人影がオークたちの行く手を遮ったのだ。 

「始まりの光、真実の輝き、正しき心を勝利へと導かん。……ビッグサン・ヴァイス」 

紫髪と白のマフラーを靡かせた青年、アルベルジュが目を閉じ胸の前で拳を握り、静かに、だが高らかに名乗る。

アルベルジュと距離を取って右側、今度は黒のマフラーを巻いた見るからに豪傑そうな若者、グラーバが大音声を上げる。

 暗き世界より悪を許さぬ正義の影。闇の黒、影の黒!悪を追って漆黒の豪腕ただいま参上!ビッグ!サンーー、ブラック!!! 

いきなりのヒーロー登場にざわつく場内。そして

「ふははははー!!」 

今度の声は高いところから聞こえた。 

「ヒーローとなんとかは高いところに上るのがお約束だ!とうっ!」 

木の上から黒い影がブラックの隣にスタンッと身軽に飛び降りた。

「キラキラゆれる向日葵照る畑、まぶしく光る黄色い光!黄色は笑顔!黄色は希望!笑顔を奪う不逞の輩に鉄槌を!ビッグッ!サーーーンイエロオオオ!」 

ビシイッと音がなるくらいのキレのよい決めポーズをとりながら叫ぶのは黄色のマフラーを巻いた褐色肌の元気そうな少女、テスカだ。

観客の女の子たちの目がカッコイイ!と輝く。

ただ、その賞賛の目を浴びている当の本人は

「イエローっていうのはアレだぞ。カレー的なのじゃないから乙女カラーだから」 

と居並ぶブラックとヴァイスにブツブツ言い訳していた。

イエローが一同の目を奪っている間にテトテト走ってきたふわふわした金髪の間からピンクのマフラーを靡かせた少女、エコールが声高々に名乗りをあげる。 

春の伊吹の桃の色。優しき光で弱きを助け、君を前へと導く光!桃は癒し、桃は未来!未来を奪う奴の声を聞き此処に推参!ビックサァン!ピィィンク!」 

今度は子供たちから可愛い!という声援が飛んだ。えへへぇ、と嬉しげにピンクが微笑む。 

ヴァイス、ピンク、イエロー、ブラックと並んだ列の真ん中に青のマフラーに合わせたのか濃青のジャケットを羽織った青年、バルトが収まる。 

「果てなく広がる恵みの輝光。空の青、海の青…全てを覆う蒼き静寂。ビッグ…サン、ブルー」 

青の武器飾りをあしらったアックスソード、ウラガノをくるりと手首の周りで一回転、名乗りのクールさとは裏腹に、バチッと決めポーズをするブルー。

今度は男の子たちからオオーと歓声が上がった。 

「…何で、ヒーローショーなんて…ガキのために……」 

と、クールな顔を保ってはいたが、バルトは少年たちの羨望の眼差しを一身に背中に受け、内心とても嬉しかった。 

さて、5人揃った。しかしあと一色足りない。ヒーローには不可欠のあの色が! 

「うおお!遅刻だ、遅刻!!」 

奥のほうから雄叫びのような声が聞こえ、一同がその方角を見る。赤いマフラーを巻いて東方のハッピと呼ばれる上着を羽織ったエルフの男、ニイヤが走ってきていた。 

「ま、ヒーローってのは遅れて登場するもんだ!」 

キキーッと砂埃をあげて、ブルーとイエローの間に立ったニイヤは右腕を天に突き上げると 

「燃える太陽この手で掴み、真っ赤な血潮がこの身にたぎる!赤は命!赤は炎!燃やすぜファイヤー!ビィィッグサンレェェェッド!!」 

空気がビリビリ響くくらい、今までで一番大きな声で名乗った。 

「子供の誕生日をぶち壊すたぁ、野暮以下の下衆野郎だぜ!ここは一つ正義のヒーロー、ビッグサンライジャー参上ってことで世路志駆!」 

6人揃ってバッチリと決めた。だが。 

「ニイ…いえ、レッドさん。ビッグサンレンジャーです」 

ヴァイス、つまりアルベルジュがコソッと訂正する。

「何?ビッグサンレンジャー?この際どっちでもいいぜ!」 

ニイヤはちっとも気にしなかった。 

「お、おお…」 

大人のセレブ達は状況についていけていないのか不明瞭な声を漏らすだけだったが、子供たちは臨機応変だ。 

「わー!ビッグサンレンジャーがんばれえええ!!!」 

男女そろってキャーキャーと声援を送る。

面白くないのはオークである。 

「ド、ドユコト」 

おろおろとオーク…便宜上、オーク1と呼ぼう、オーク1がオーク2をみやる。 

「ヨク ワカラン」 

オーク2が首をひねる。 

「トリアエズ ヤッチャウ?」 

オーク3がハンマーを構えた。 

「ゴチソウ!ゴチソウゥウウ!!」 

ハンマをぶん回すオーク4は空腹で少しおかしくなっているらしい。 

「オマエラ!ヤッチマエ!!」 

面倒くさくなったのかボスが喚いた。

その一声が戦いの火蓋を切った。

 

「まずは二手に分かれましょう」 

ヴァイスが冷静に指示を出した。イエローがピョンと飛び跳ね、走りだす。 

「よぉおおし、ご馳走には指一本触れさせないぞ!行くぞブルー!ブラック!」

「なんで俺がテスカに指図されてんだっ」 

言われるまま走りつつも不満を言うブルーに、並走するブラックが注意した。 

「ブルー、ここはコードネームで呼ぶんだぜぃ!」

「名前?イエローとか色の名前呼べるか!恥しい奴等め…。おらあっ!」 

バルトがウラガノを振り上げ、オーク1へ横薙ぎ一閃するが、オーク1もさるもの。ガチンとハンマーで受け止めた。 

「クラエッ!」

そのまま必殺の一撃とばかりにオーク1がブルーへハンマーを振り下ろす。 

「ハンマーなら俺のほうが凄いぜ!俺の力を見せてやるっ」

グラーバがアースブレイカーを何度もブォンブォンと振り回した。 

「グギャアア」 

ことごとくハンマーを食らわされオーク1は瀕死の重症を負い、目を回してしまった。

  

一方、ヴァイス、ピンク、レッドの陣営も負けては居ない。 

「ピンクサンダーだ!…色ほど優しい攻撃じゃないからねっ」 

ヴァイスのディフェンスブレイド、レッドの日輪拳、という名の竜撃拳を受けたオーク3へピンクは神速とも呼べる速度で雷を帯びた槍を投げつける。

雷に包まれよろめくオーク3を目がけたヴァイスの必中の突進によりナイトランスがオーク3の身を貫いた。 

「まずは1体、ですね」 

倒れ伏すオーク3を見下ろし、ヴァイスは一息つく。 

「よし、気を抜かずに次だっ」 

レッドは日輪の輝きを招来し、自分を力づけた。

 

「これで仕舞いだぜぃ!」 

ブルーとイエローの技を必死に防いでいたオーク2だったが、グラーバの連続回転攻撃に敢え無く地に伏せた。

「こっちはこれで終了だっ!よーし、ピンク、ヴァイス、レッド加勢するぞーっ」 

ピョンと跳ね、イエローがオーク4へ殺到する。 

「おりゃりゃりゃりゃーっ」 

目にも留まらぬハルバードの十連突きがオーク4を苦しめる。 

「ウ、ウグゥ」 

オーク4は苦し紛れにハンマーを振り回すが、ガチンとピンクの振るう槍に止められた。 

ビッグサンピンクは君程度の攻撃じゃ倒れないよ! 

にこっと笑うと、ピンクはそのまま疾風突きを繰り出した。 

「よし、ピンク、後は俺にまかせろっ」 

ブルーは言うなり、ウラガノを渾身の力で薙いだ。渾身の一撃が衝撃波を生み、ボスまで巻き込む勢いでオーク4を仕留める。 

「よーし、これで雑魚退治は終了だぜぃ!!」

「「やったねー!」」 

ブラックがガッツポーズを取り、ピンクとイエローが跳び上がってハイタッチする。

雑魚を一掃できて喜ぶビッグサンレンジャーだったが、ブルーは内心うっかり恥ずかしいと言っていたコードネーム呼びをしてしまったことに気づいて、羞恥に褐色の肌をうっすら染めていた。 

「よっしゃぁ!よくも今までチクチクやってくれたな。だが、あとはテメエだけだぜ、ボス!!」

戦いが始まってから延々と遠くから地面を叩いては衝撃波でビッグサンレンジャーを苦しめていたボスに向かって、レッドはビシリと指さした。

「フン、オレ ダケ デモ ゴチソウ!クウ!ラーンドブレーイクッ!」 

ボスは思いっきりハンマーを振り上げると何度も何度も地面を叩いた。

  

「キャーッ」 

イエローが揺れる地面に立っていられなかったのか、吹っ飛ぶ。

ランドブレイクに吹き飛ばしの効果はないが、吹っ飛ぶ。 

「ぐぅわー!」 

ブラックはアースブレイカーを地に落とし、しゃがみこんだ。 

「ピンチってこんな感じでいいのか?」 

と、キャーキャーと何度も吹っ飛んでいるイエローに問うと、いい笑顔とサムズアップが返ってきたのでそのままブラックは満足気に顔を伏せた。 

それを見て、ヴァイスとブルーは目と目を合わせ、頷いてから 

「くっ、やられましたー」

 「うわー」

ちょっと下手くそなやられセリフと共に地面に寝転んだ。 

「アレ オレ イマ ゼッコーチョー??」 

ボスはいきなりの優勢に首を傾げたが、調子にのって地面を叩きにたたきまくった。 

「う、うわわ、…くぅ…僕達は未来を…皆を守れないの? 

地面に膝を付いたピンクが悲しそうにつぶやいた。 

「くぅ、ピンク!ヒーローってのはピンチになっても弱気は吐かねぇんだぜ!だがパワーが足りねぇ! 

レッドが悔しげに言い、手に汗を握って状況を見守るセレブ達にくるりと向き直った。

いきなり水を向けられた観客たちがどよめく。 

「皆、俺達に気合を分けてくれ!!」

 

「えー、皆ー、ビッグサンレンジャーに声援を送ってやってくれー!皆の声援がヒーローの力になりまーす」 

観客が前に出過ぎないよう棍で押し留めていたデュードが声を張り上げる。

「頑張れー、ビッグサンレンジャー!」 

大きな声で叫んでから『仕事とは言え、26にもなって小っ恥ずかしい』 と内心毒づく。

だが、そんな毒づきも吹っ飛ぶほどの声援が会場から湧き上がった。

「がんばれっがんばれ、レッド!」

「がんばれーイエロー!かわいいー!」

「がんばれーピンクちゃーん!ちょーかわいいーっ」

「きゃーっ頑張ってヴァイスさまぁあ」

「なによ、私のブルー様こそ頑張ってくださいませええ」

「何言ってらっしゃるのかしら、ワイルドなブラック様こそ至高!ブラックさまぁああ、お気張り遊ばせえええ」 

よく聞けば奥様方がビッグサンレンジャーの贔屓で喧嘩をしている。

特に大きな声を張り上げているのはニコラスだ。 

「がんばれー!がんばれっビッグサンレンジャーぁああああ」 

セレブな彼にとってはきっと人生最大の声だっただろう。

 

倒れていたビッグサンレンジャー達はゆっくり立ち上がった。 

ありがとう!その言葉で元気が沸いたよ…!きっとその声は君の未来を紡ぐ力になる! 

ピンクがとてもいい笑顔で会場へ手を振った。少年たちは顔を染め、少女たちが黄色い声を上げる。 

「ふっかーつっ!」 

イエローがベルセルクブラッドで回復しながら立ち上がる。 

演技の下手なヴァイス、ブルー、ブラックがさっきまでの弱りっぷりはどうなったんだと言いたい勢いですっくと立つと、奥様方の気絶しそうな凄まじい悲鳴が木霊した。 

気ィィィ合フルチャージ!みんなありがとうよ!見せてやるぜ!ビッグサンライジャー究極奥義! 

レッドが最後に立ち上がって観客たちにポーズを決める。 

「アレ コレ ヤバ…」 

ボスが冷や汗をかいた。

 

「よぉおし、いっくぞー!くらえっビッグサンストォオオム!!!」 

ピンクが振り回した槍が巻き起こす風がボスを縛り付けた。

「さあ、続けていきますよ!」 

ヴァイスのナイトランスによる貫通せんという勢いの突きから極大の撃滅波が生まれ、動けないボスに襲いかかる。 

「笑顔とご馳走を奪う悪の手先に明日は無い!覚悟ぉお!」 

イエローの四連続の突きがボスの鎧を貫く。 

「ビィィィィッグサンフレアアアアアアアアッ」

レッドの舞が日輪の大いなる輝きを呼びボスを焼きつくさんと包みこむ。 

「必殺技…行くぜ」 

ブルーがその灼熱に向かいウラガノ片手に斬り込む。青い竜巻のようなオーラがボスの鎧をとうとう砕いた。そのままオーラはボスの体を突き破るだけでは収まらず、袈裟懸けに切り裂く!

倒れこむボスにトドメの一撃が迫っていた。 

「見せてやるぜっ、最強の技、ギガスグラップルだっ!」 

ブラックの巨大な魔獣化した腕がばったり倒れ伏したボスを完膚なきまでにたたき潰し、灼熱に焼き尽くしたのであった。 

戦いは終わった。ビッグサンレンジャーはもう一度並ぶと、決めポーズを取った。


沸き起こる拍手。楽隊がファンファーレを鳴らす。 

イエローが笑顔で観客たちに礼を言い、手をブンブン振り回した。 

「みんな力をありがとう!おかげで平和は守られた!」 

パチパチと拍手をしながら主催者、デクレセント氏が笑顔でビッグサンレンジャー達に進み出る。 

「素晴らしい!ありがとうございました、ビッグサンレンジャーの皆さん。宜しければ我が息子の誕生パーティーにご参加下さい」

と頭を下げた。

ビッグサンレンジャー達は互いに目を見合わせる。

 

「食べていいの!?食べていいの!!?」 

ピンクが目を輝かせた。 

「ええ、もちろん。どうぞ遠慮無く、心ゆくまでお召し上がり下さいね」 

デクレセント夫人が慈愛のこもった微笑をたたえ、立食会場を指す。

「スゴイ!ゴチ!ソウ!!タベ!ホーダイ!!」 

イエローは本当に遠慮しなかった。目を輝かせてドドドドと料理に走りよる。 

「えっと、まずは重点的に肉を確保だっ」 

ひょいひょいとローストビーフやステーキ、鶏の丸焼きを皿にも載せずに平らげていく。

「おっと、すぐに無くなるデザートも忘れちゃならないっ」 

とケーキワゴンのミニケーキを各種3つずつトレイに載せる。 

「テスカさん…他の方の分も残してくださいね」 

おとなしくサラダを皿に盛りつつアルベルジュが苦笑する。 

「んっ、大丈夫だ!たいてい野菜は最後まで残ってるっ。後に回して問題ないはずだ!!」 

聞いちゃいない。 

「わーっ、これもあれもそれも食べていいの!!?おいしーいっ」 

エコールも負けじと春巻きやミートボール、エビフライを口に運ぶ。 

セレブが呆然と見守る中、どんどん料理は消えていった。

 

「がっつくんじゃねーよ…小っ恥ずかしい…」 

バルトは瞬く間に消えていく料理たちを眺めてため息を付き、額を抑える。

その途端、『きゃーっ、憂うブルー様かっこいーい!』という声が聞こえ、バルトはそのポーズのまま固まった。

「…う」

斜め後ろから婦人たちのあつーい視線が突き刺さる。慣れない状況だ。

ちらりと横目で隣を見るとブラックにご執心だったお婆さん、いや奥様達がブラックを取り囲み、サイン攻めにしていた。 

「カカカ、グラバ、モテモテだな!!…お、なかなか少年やるじゃねーか、負けねえぞーっ」 

子供たちと腕相撲をしながらニイヤがカラカラと笑っている。リーダーは頼りにならない。 

「やべえ…チビ、なんとかしろ」

と発案者に助けを求めるも、デュードはデクレセント氏にギャラを貰ってホクホク顔の最中であり、何もしてくれそうになかった。 

「逃げっかな…」 

バルトはじりじりと会場の出口へと足をにじらせて行くのだった。

 

「ありがとうございました、オラクル君」 

デクレセント氏がデュードに厚い封筒を渡し、頭を下げた。

「いやー、すんませんね、こんなに貰っちゃって」

「機転を利かせてパーティーを壊さずオークを退治してくれたんですね」

「え」 

固まるデュードにデクレセント氏は微笑む。 

「私だって色んな人の裏を見ながら大きくなった商人です。これくらい分かりますよ。その報酬はあのヒーローの皆さんの分も入ってます。きちんと折半してあげてくださいね」

「へ、えへへへ…(上手くネコババしねえと…)」

  

そんな父と司会のお兄さんのやりとりと首を傾げながら眺めていたニコラスの眼前にぱさりと様々な色彩が現れた。

びっくりして見上げると、 

「お誕生日おめでとうございます。これはビッグサンレンジャーの皆からです」 

笑顔でビッグサンヴァイスことアルベルジュが花束を差し出している。

 「あ、ありがとう…」 

おずおずとニコラスは花を受け取り、礼を言った。

そんな二人にヒョコヒョコとエコールが近づく。食べカスで口の周りがベトベトだ。

ぐいっと袖で口を拭いてからエコールは笑顔で3本のピンクのマフラーを取り出した。 

「ニコラスくん、これ見て?」

「これ…ビッグサンレンジャーのマフラー?」

3本のマフラーはビッグサンレンジャーショーをするにあたって、マフラーがなくて困っていたエコールにグラーバとテスカが贈ったものだ。 

「うん、そうだよ。これは仲間の…友情の証なんだ。一人じゃこれは0になるけど仲間と一緒なら0じゃなくなるんだ!

これから先の未来に君にもそんな仲間がきっと出来るよ!それまで僕たちの事…忘れないでね?」 

こくりと頷くニコラスにエコールは輝く笑顔で祝辞を述べる。

 

「ニコラスくん、お誕生日おめでとうっ!!」

 

 

 

偽シナリオにご参加いただいたニイヤ、バルト、テスカ、エコール、アルベルジュ、グラーバさんに心から感謝を!!

ありがとうございました、また機会があれば偽シナリオさせていただきたく存じます。

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